2015/06/25

私じゃなくていい

「私は私じゃなくていいから価値があるの」という歌詞を書いた数ヶ月後、「私以外私じゃないの」と歌う曲が発表された。
私は私以外で代替可能なアルバイトをして、引っかかる人が少ない音楽をやって、代替不可能な人間関係の中で生きている。でも、私は私じゃなくていいと思う。私は特別なんかじゃない。だからこそ生きていることに価値があり、必要とされるのだと思う。それに気がつくまでに時間がかかりすぎた。

眠ったり起きたり体調を気にしたり、人の精神の心配をしたり猫とお話したりしなかったり、煙草を吸ったりお酒をやめたり、歩いたり少しだけ走ったり、薬を飲んだり飲み忘れたり、まぁいろんなことをして過ごしている。他人からしたら全部同じ。あってもなくても、ヒトが一人いるか・いないか。
中高生の時、川沿いを散歩するのが好きだった。だったという過去形だと今は嫌いという意味にとられそうだが、単純に時間が取れないだけである。川沿いを歩く時は大抵父親と一緒だった。よく歩いていた川沿いにはヒトや鳥や虫や猫などがいて、少し離れた、知らなくはないけどそこまでなじみがない町の店でおやつを買ってぬるい会話をした記憶がある。もはや何を話したか覚えていないような、些細な会話。
今は父親と一緒に住んでいないし、週末に会っても挨拶とすこし話すくらいだけど、別にさみしいなどと思うわけではない。父親は私の父親としては唯一の人間で代替不可能だけれど、ただの人間でしかないのだ。それに気がついた私はきっと強い。どこへだっていけるよ。